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Keithley 2000 DMM 故障修理 [アマチュア無線]

Keithley 2000 DMM  故障したので修理しました。Keithley_2000_1.JPG
 
以前に(2019年9月)中古で購入した、Keithley 2000のACV,ACI,Freq.の測定ができなくなっていました。
不具合はAC測定なので、AC/DC変換部の不良であることがわかります。
まずは、ネットからKeithley 2000の回路図をダウンロードすることから始めます。AC/DC変換は、AD637J RMSコンバーターICで行っているのが解ります。そこで、TP103の電圧を測ってみると+14.3Vほどありました(下図をクリックで拡大)。
K2000_ACDC.jpg
その前段のIC U118C opアンプの出力は-14Vと、ほぼ振り切っています。
このTLE2081の入力は、C115 コンデンサーで直流分をカットしています。よって、疑わしいのはTLE2081廻りです。C115はSMDではないリード線タイプですから、BUPを考える必要は無さそうです。
考えられるのは、このIC自体の不良、若しくは、周辺のFETスイッチのリークです。さらに、Keithley 2000の持病であるSMDで起こるBUP(Bridge Under Parts)です。
さらに、四級塩電解液使用電解コンデンサの液漏れも考えなければなりません。
 
ここで、むやみやたらに部品交換をするのは得策ではありません。
そこで、ポイントクーラー(急冷材 HOZAN Z-285)でTLE2081を冷やしてみました。すると、大きく、出力電圧が変動します。近辺の部品に急冷材が掛からないように、紙テープなどでガードしてみても、このTLE2081が臭いようです。
TLE2081不良と断定し、部品を発注しました。このTLE2081は広帯域、高スルーレートなので、同等品を見つけにくいため、同一品を発注しました。
TLE2081を交換し、修理完了しました。
 
[ひらめき]BUP: SMD部品類をプリント基板に半田付け(フローソルダー/ウェーブソルダー)する際に、部品が落ちたりずれたりしないように、部品の裏面に接着剤(Loctite3609など)を付けて固定します。その接着剤は湿気に弱いため、固化するまでは湿気を避けなければなりません。保管中はしっかりふたを閉め、出来れば乾燥庫に保管します。それを怠ると、接着剤自体に湿気が入り込みリークを起こし、程度によってはショートします。とくにコンデンサーの場合は、リークは致命的です。この現象を、BUP(Bridge Under Parts)と呼ばれています。
 
[ひらめき]四級塩電解液: 1990年前後に製造された高性能電解コンデンサには、四級塩電解液が使われました。この電解液使用コンデンサに液漏れ事故が起こり回収・改修が行われましたが、一部で、回収しきれずに残っているものがありました。これも、故障の原因になっています。この電解液は非常に性能が良いので、主に105℃、低ESRなどの高性能コンデンサに使われました(85℃品の一部でも使用)。メーカーもニチコン、日本ケミコン、松下電器、エルナーなどほとんどです。100%液漏れが起こり、大型コンデンサの場合、その液により基板を腐食させ、最悪、発煙事故になりました。
 
 

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